柔らかな人当たりと積み重ねてきた実績により柔術界で人気者の河村さん。試合会場では他道場の人たちと談笑する姿がよく見られる。
しかし、優しそうなのは顔だけである。試合になると鍛え上げた肉体を武器にパワフルな一本勝ちを量産。東海地区だけでなく関西の大会でも破竹の勢いで勝ち進み、昨年黒帯に昇格した。
そんな「ベビーフェイスの殺し屋」こと河村さんに話を聞いた。
インタビュー
河村さんと言えば「プロよりも練習する」と言われるくらい練習をされていましたが、このコロナの状況で柔術ライフはどの様に変化しましたか?
毎日ではないですが、週5回くらいで練習していたので生活ががらっと変わりました。自粛中は柔術に関してはストレッチ、筋トレ、ジョギングくらいしかしていません(汗)。
でも、自粛中だからできること、例えば読書したり、息子とゲームをしたりして自粛生活を満喫しています。
今は自分の事よりも、所属道場のHOMIESの事や格闘技関係の方々、またそれ以外にも経済的な支援を求めている方々の方が心配です。早く事態が収束し元の生活に戻ることを願っています。
そもそも柔術を始めたきっかけは何ですか?
元々格闘技を見るのが好きでした。高校時代はK-1とかPRIDEを観たり、「修羅の門」という漫画を読んでいました。
大学でたまたま大道塾(道着を着た総合格闘技)のサークルがあり、「修羅の門みたいでカッコいい!」と思い入部して2年くらいやっていました。
それ以来、格闘技はやっていなかったのですが、結婚して息子が生まれた31歳の時に「息子に何か誇れるものを身に付けたい」と思いアライブに入会、柔術を始めました。
初めはMMA(打撃?)も習ってたと聞きましたが…
そうなんです。
でもある日のクラスで○○さん(某元プロ選手)のハイキックを頭部に喰らってしまい次の日まで頭痛がおさまらず「これはヤバい、無理」と思って柔術に専念しました(笑)。
というのは冗談で、柔術の試合に出て負ける度に悔しい気持ちが芽生え、徐々に柔術にのめり込んでいきました。
現在所属するホーミーズは新しいジムですがみなさん団結して盛り上がっている印象です。実際どのような雰囲気ですか?
JBJJFの殿堂入りしている細川先生が指導している事もあって、柔術好きな人が集まっている感じです。その人達の情熱が伝わっているんだと思いますし、試合に出場する人が多くチームが一丸となっている感じです。
影響を受けた方はいますか?
格闘技の面白さについてはアライブ鈴木社長に、テクニックや格闘技に対する姿勢については細川先生、日沖先生の影響を受けていると思います。
それと自分の中で欠かせないのが、大原道広さん(現ポゴナクラブジム/有名なマインドコントローラー)の存在です。青帯時代、全然勝てなかった頃に「月金の選手練にきたら勝てるようになるよ」とマインドコントロールして頂き、それから試合に勝てる様になりました(笑)。
今までに印象に残っている試合を教えてください。
先ほどの全然勝てなかった青帯の時に優勝したヒクソングレイシー杯です。三連勝しての優勝で自信になりました。
それと、決勝で5点ビハインドから逆転勝ちして優勝した、去年の第4回全日本マスターオープンです。最高でした!
「修羅の国」といわれる黒帯の世界に足を踏み入れました。黒帯で意識する選手や対戦したい選手はいますか?
特に意識している選手はいませんが、同じカテゴリーには金古一郎選手や山田悦弘選手などのレジェンドクラスの選手が多くいらっしゃいます。大変恐縮ですが、対戦の機会があれば楽しみです。
では河村さんにとってブラジリアン柔術とは何ですか?
一言で言うと「生きがい」です。柔術を始める前は、登山やサーフィン、フットサルなど色々な趣味がありましたが、それでも自分に自信がなく、これといった目標もなく、つまらない人生だった気がします。
しかし柔術を始めてからは(極端かもしれませんが)生き甲斐を感じるようになりました。
自分は黒帯になったとはいえまだまだ弱いですが、始めた頃はとても弱く、試合にも負け続け、紫帯にもなれないと思っていました。実際に今でも入門当時の先輩からは「あの弱かった河村さんがねぇ」と言われます。笑
しかし諦めずに努力を続けることで徐々に結果が出るようになり「やれば自分も出来るんだ」という自信が持てるようになりました。
柔術を始めたばかりの方や頑張ってもなかなか結果が出ない方も、諦めず少しずづでも良いので続けていってもらいたいと思います。
最後に今後の目標を教えてください。
ずっと黒帯になることが目標でしたが、昨年、細川先生から黒帯を頂き達成してしまいました。これからは帯の色だけでなく、実力でも真の黒帯になることが目標です。
あと、ちょっと高すぎる目標かもしれませんが、全日本マスターで優勝する事です。
また、自分の人生のテーマは「凡庸な人生からの脱却」ですので、柔術はもちろん色んな事にチャレンジしていきたいです。
そして少しでも周りの人達に元気を与えていければと思います。
大変ためになるお話ありがとございました。ではテレフォンショッキング方式で次の方を紹介してください。
私が所属するHOMIESの細川顕代表を紹介したいと思います。細川先生、面白いプロレスの話よろしくお願いします!
インタビュー後記
人生のテーマを「凡庸な人生からの脱却」と言う河村さん。聞いていて「柔術で黒帯にまでなった人の人生が凡庸な訳が無いのでは…」と思ってしまったが、常に謙虚で向上心を忘れない河村さんらしいテーマだとも思った。
また最近では、柔術だけでなく色々な分野へのチャレンジを模索しているらしい。これからも「ベビーフェイスの殺し屋」改め「永遠のチャレンジャー」河村さんに注目したい。
実は河村家、自宅の横には広い庭があるそうだ。誠に勝手な憶測だが、将来そこに道場「KAWAMURA-BJJ」を建てるつもり?なのかもしれない。
その時は大きなお花を贈らせてもらおうと思う。
河村さんのご協力に深く感謝します。