名古屋で自身のジム「ALMA FIGHT GYM HOMIES」を主催する細川代表は、柔術で国内TOPクラスの実績を誇る日本ブラジリアン柔術連盟の殿堂入り選手の一人だ。実績面については既に様々なメディアでも出ており、今更言うまでもないだろう。

そこで今回は主に、大好きだと言うプロレス面にフォーカスを当てて話を聞いた。「時は来た、それだけだ」と言ったかどうかは定かではないが(多分言っていない)、”細川顕60分一本勝負”をお届けする。

プロフィール

細川 顕(ほそかわ あきら)
北海道出身/「ALMA FIGHT GYM HOMIES」代表
プロレスファンとして育ち地元のパラエストラ旭川でブラジリアン柔術を始める。進学で愛知に移住後、総合格闘技道場ALIVEに所属。全日本選手権5回優勝や世界選手権出場など活躍。2017年、日本ブラジリアン柔術連盟の殿堂入り。現在では名古屋に自身のジムを主催し日々指導に励む。好きなプロレスラーは武藤敬司。

https://www.afghomies.com/pages/1492402/profile

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主な実績

  • 2011年:JBJJF 全日本選手権 レーヴィ級優勝
  • 2012年:JBJJF 全日本選手権 ライト級優勝
  • 2015年:JBJJF 全日本選手権 オープンクラス優勝
  • 2016年:JBJJF 全日本選手権ライト級優勝
  • 2017年:JBJJF 全日本選手権オープンクラス優勝

インタビュー

今回のコロナによるジムの一時閉鎖は苦渋の決断だったと思います。今の率直な思いをお聞かせください

4/17に愛知県でも緊急事態宣言による休業要請があった為、HOMIESもそれに従いました。

メンバーの方も自主的に練習を自粛している方や、会社命令でそういう場所に行くなって言われている方もおられたので、一旦クローズした方がそういう方達にとってもモヤモヤしないし良いかなと判断しました。ただ、そういう状況下でも練習に来てくれているメンバーもいたので、そこは心苦しかったです。

休業中はメンバー限定でYouTubeを使って動画配信をしていました。

テクニック動画とかもあるんですけどそ、れよりも再開したときにメンバー同士のコミュニケーションが良くなるよう、メンバー紹介動画をよく撮っています。

ジムって新しく入会しても一人一人に自己紹介とかしないしされないじゃないですか。続けているメンバーでも「あの人の名前って何だっけ…」みたいな人もいると思うので積極的に撮影していますし、今後も継続していく予定です。

現在はジムも再開し、徐々にメンバーも戻ってきてコロナ前の7割程度はなってきてます。休会や退会する人も少なかったのでありがたいです。

HOMIESは設立から間もないながら皆さん盛り上がっている印象です

自分がこれまでの経験を踏まえて気合い入れてやってます。

例えばジムは清潔に保つし、男女別更衣室とシャワーと冷暖房を完備、高品質ロールマットを設置等々可能な限り柔術を快適に取り組める環境を作っています。そして指導は自分が全てやる。こういった所に価値を持ってくれる方達が集まってくれました。

大会にもよく総出で参加するのでコンペティションチームと思われているかもしれませんが、普通に練習して大会があるから出ているだけなんです。

「人間周りの五人に影響される」って何かの記事で見たんですがその通りで、皆が出るから俺も出るし、皆が頑張ってるから俺も頑張ろうって互いに互いを刺激しあえているので、大会参加人数も多いのだと思います。

− 大会で盛り上がるHOMIESの皆さん

ご自身もTOPレベルの選手として活躍されてきましたが、今まで国内外問わず手強かった対戦相手や思い出に残る試合があれば教えてください

やっぱり外国人選手は全員強かったです。

世界チャンピオンになった選手だとクロン・グレイシーJTトーレスハファエル・メンデスマイケル・ランギガブリエル・アルジェスとか対戦していますが、それぞれの強さがあって全部印象深いですね。

あえて言うなら単純なパワーだとダントツでJTトーレス、テクニックだとハファエル・メンデスが段違いでした。これらの素晴らしい選手達に触れられたのはキャリアの中でも幸運だし目指すべき強さの指針になっています。

https://www.youtube.com/watch?v=fErnqLiI4fM
− ヒクソン.Jrでもあるクロン・グレイシーとの一戦

全然話変わりますが、プロレス好きの細川さんですが好きな団体はありますか?

プロレスは小3の時に祖父の家にあったワールドプロレスリングのビデオがきっかけでそこから兄と一緒にハマりました。

ファイプロ(ファイヤプロレスリング)等のプロセスゲームも買っていたので団体問わず大体の選手は知っていたと思います。当時は北海道にいたので地上波で観れたのは新日しかなかったので新日派と言えばそうなります。

ただ、人生最初のアルバイトはFMWの会場設置でした。

推しのプロレスラーを教えてください。天龍さん好きですよね?

兄がゲームの「闘魂列伝」で蝶野ばっかり使うので協力対戦だと蝶野の合わせてキャラを選ばないといけないじゃないですか。天山って選択もあるけど武藤をよく使うので武藤を好きになっていきましたね。プロ柔術MATSURIでも入場曲には武藤のテーマを使いましたから。

− そのプロ柔術MATSURIはこちら

天龍はここ最近テレビでもよく出てきて一周回って好きになった感じですね。ちなみに僕の息子の名前も源一郎です。

全盛期の藤原組長と寝技勝負をしたら勝つ自信はありますか?

痛そうなことやってきそうなのでやりたくないけど、柔術を信じます。

PRIDEブームの時に多くのプロレスラーが総合のリングに上がりました。桜庭選手や藤田選手が輝きましたが、永田選手などのトップ選手が負けてしまうというショッキングな事もありました。このプロレスラーの総合参戦についてはどのように思われていましたか?

もうその当時は格闘技を始めていたので結果を見ても「そりゃそうだ」としか。でも今思えば相手方悪すぎますよ。永田なんてミルコやヒョードルと当てられて勝てるわけないじゃないですか。

あれがもう少し劣る相手とやらせてMMAのキャリアを踏ませれば歴史は変わってたかもしれませんね。

プロレスをたくさん観てこられたと思いますが、柔術に活かせた点はありましたか?

これは結構マジで言いますが、プロレスにもサブミッションがあるので技のイメージ力が上手くなったと思います。

ファイプロとかでエディットレスラーを作るときにサブミッションの技を設定するんですけど、設定画面にサブミッションの動きが表示されるですよ。いろんな技があるのでそれを見続けることでイメージの勉強になりました。

そして何よりも相手の技を受けることが上手くなると思います。

ドリル練習で受けがヘタな人って技のイメージができないんですよ。相手がかけてきた技に対してどう動けばキレイにかかるのかをイメージできない。つまりプロレスができないんですよ。

このイメージする能力は柔術の練習というか全てのスポーツに必要だと思うのでプロレス観戦はマジでお勧めです。

後は、柔術界隈はプロレス好きが一定数いますので友達が増えますよ。

これからプロレスを見始めるビギナーのために「この時代、この試合を抑えるとプロレスの面白さが分かる!」といったアドバイスがあればお願いします

今のプロレスと僕が見てきた1990~2000年代は別物ですので、もう今すぐにでも観ればいいです。

新日の社長の本を読んだんですけど「新規ファンの為にいつ観てもストーリーがわかるようにしている」とありました。

なので今すぐワールドプロレスリングを録画予約して下さい。

アントニオ猪木さんの近況をSNSで拝見しますと、かなり身体が弱っておられる印象です。最近でもプロレス全盛期の方達がお亡くなりになりました。悲しいことではありますが、これからのプロレス界への希望がありましたらお願いします

最近のレスラーはしっかり節制とトレーニングをして身体をつくってるのでその辺の意識も高くなってるのでレベルも上がってます。

若い世代が観てもカッコいいと思われるようなレスラーが多いしもうオールドファンが支えている訳ではないので、今のままでいいんじゃないでしょうか。

最後に柔術の話に戻りまして、コロナ収束後の展望やご自身の目標などあれば教えて下さい

しばらくは大会も開催されないと思うので、とりあえずは不安なく毎日練習できるようにしたいです。トーンダウンした熱を取り戻したい。先を考えるのはそれからですね。

自分の目標としては、ハッキリ言ってこれ以上何が実績を残しても生活が変わることはないと思ってるので、HOMIESとして何か結果を出す事が目標です。なので指導力やマネジメント力を上げるのが目標ですね。

誰かしらそれぞれの光るものを持っているので、メンバー全員をそれぞれの才能の行き着く先まで導いて行きたいです。

ALMA FIGHT GYM HOMIES
愛知県名古屋市東区葵1丁目21−1 松原ビル 1F
細川代表自身が全てのクラスを受け持つフルタイムの柔術道場。同ビル2Fには「マーシャルワールド名古屋店」があり格闘技グッズの購入も便利。
https://www.afghomies.com/

インタビュー後記

真面目な柔術からは少し離れた、若干エンタメ色の質問に乗っていただけたのは流石のプロレス魂である。

その中でも「柔術が強くなるにはプロレスは良い」との話は印象に残った。少々ふざけた質問ではあったが本当にプロレスが有益だったとは!柔術家の皆さんは練習やテクニックDVDだけでなく、プロレスを観ることもお勧めしたい。

また、ジム代表として「メンバー全員をそれぞれの才能の行き着く先まで導いて行きたい」との想いや、コミュニケーションを円滑にするための取り組みなど、メンバーファーストの姿勢にも感銘を受けた(初めてのバイトがFMWと言うのも面白かった笑)。

現在自粛中の柔術の大会が再開された暁には、今度こそ「時は来た、それだけだ」の言葉と共にHOMIES軍団の快進撃が見られることだろう。

細川顕さんのご協力に深く感謝します!

投稿者 蓑毛 新 

マーケター兼ライター。ブラジリアン柔術紫帯でMMAも少し嗜んでいます。好きな格闘家はアントニオ猪木。好きな食べ物はイクラとラーメン。 お問い合わせ、各種ご依頼はお問い合わせページよりお願い致します。